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2016/09/25

相続トラブルにそなえる

Tweet ThisSend to Facebook | by kawahara
相続税講座

相続トラブルにそなえる

(9月21日の講座内容をまとめました)

相続争いを起こさないために大切なこと

 戦前は「家督相続制」で「家」を守ることが中心だったので、相続財産は基本的には家長のものとされ、紛争は家督争い、跡目争いに限定されていたのです。
 戦後は「共同相続制」となり、相続人全員が遺産を共同で相続するというように変わりました。相続人に、平等の権利が与えられました。話し合い(遺産分割協議)による民法の規定(法定相続)か、遺言書(指定相続)によって相続財産が分けられることになりました。

なぜ相続争いになるのでしょうか?

 よくある相続問題が起こる原因に、法定相続分を軸に相続人の被相続人(亡くなった人)に対する寄与分を考慮し、お互いが納得のいく相続をすることになるのですが、そうはうまくいかないことが多くあります。
 根底には、相続人には多額の財産が転がり込んでくると、二度とない機会と思い立ち理性を失うこともあり得るのです。また、欲もからんで取り分を出来るだけ多くとろうとする画策もあります。それを後押しするのが遺留分です。どんなに故人をないがしろにしても、相続人は法定相続分の二分の一を相続する権利があります。相続人同士での過去のしがらみが一気に表面化し、均等な相続分を要求して紛糾する場合もあります。
 また、財産が多すぎても少なすぎても紛争は起こります。財産が多い場合は取り分をめぐって問題になりますし、少ない場合、特に不動産が一つしかない場合等は財産の分け方で問題が生じます。

相続の主体はあくまで被相続人

 被相続人の財産は、親から相続したものを維持してきたものもあれば、自分で形成したものもあります。いずれにしろ財産を作ったのは被相続人の努力のたまものなのです(もちろん配偶者の共同の努力も忘れてはなりません)。そうであれば、どのように相続させるかは被相続人の意思しだいといえます。
 

遺言書は争いを防ぐ「葵の御紋」

 配偶者がある場合、被相続人にとっては、配偶者の老後の保証をまず考えると思います。高齢の配偶者には次の相続問題が生じるからです。紛争を出来るだけ未然に防ぐためには、「遺言書」の効果は大きいと言われています。考え方、心がけを以下、述べておきます。
  1. 自分の死後の家族・妻の生活、老後を考えて書く
  2. 財産内容は出来るだけ家族に明確にして書く
  3. 紛争が心配となる相続人家族のことを考慮して書く
  4. 家族間に問題がなければ自分の意志を全員に伝えておく
  5. 相続財産の指定から、分割方法まで細かく具体的に書く
  6. 遺言執行者は信頼のおける人に委任する。複雑な場合は弁護士等の専門家を指定する
  7. 遺言書の保管場所を相続人に教えておく

事業用財産はどのように承継する

 個人で営業している方…事業用の財産を他の相続人と分割してしまえば、事業は立ちゆかなくなってしまいます。そうならないためには、後継者を早めに決め、事業用資産は後継者に単独で相続させるのが一番です。その点を遺言書で明確にしておき、他の相続人には遺留分を配慮し、それ相当の財産を相続させます。遺す財産がなければ、後継者が遺留分を分割して負担することもあります。
 株式会社等で会社経営している方…会社に貸し付けている不動産、貸付金等を後継者に相続させます。また、株式会社の持ち株が過半数以上になるよう相続させます。これは、株式会社の代表取締役は株主総会で選出されなければならないので、いくら「後継者に経営権を相続させる」と遺言しても強制力はありません。したがって株主総会や取締役会の実権を握るには株式の過半数が必要なのです。
 子供の経営能力に自信がないときは一定の株数を有能な番頭格に譲り、後見人または次の経営幹部として処遇することも考えておきます。子供が跡を継がない場合や、後継者の経営能力が著しく欠ける場合は、経営権を他社に譲ることも考えておくべきでしょう。

相続税対策をしっかり

 これまで相続対策は争いを防ぐ対策、と述べてきましたが、次の課題として相続税対策があります。これについては、先に行われた相続税セミナー等で講師からお話ししていただいてきましたので省略しますが、平成27 年1 月より施行された相続税法の改正(基礎控除額5 千万円→ 3 千万円、法定相続人1 人につき1 千万円控除→ 6 百万円へと切り下げ)により納税しなくてはならない人が、今後飛躍的に増えてきます。
 日本の場合、相続財産にしめる現預金の割合は20%程度です。残りのほとんどが土地などの不動産であるため、相続税を納税する資金に困る方が多いと予想されます。そのため生前贈与などの対策、財産評価の引き下げ、納税資金のための収入の拡大等々考えておくべき相続税対策へ喫急の課題があります。詳しくは、関中協事務局等にお尋ね下さい。
(土田浩二)

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