70周年記念のつどい記念講演(要旨)
吉田敬一氏(駒澤大学教授)
日本の産業を引っ張る自動車産業を例に円安でも北米など海外で現地生産する価格と同じ価格で輸出するため値下げしなくて済み、為替利益で儲けられる。儲けた利益は企業の内部留保と株主配当に回る。アベノミクスの言う、社員や下請企業へ取り分が上からしたたり落ちるトリクルダウンは生じない。その結果、格差が広がった。
地域で人が住み生産を維持していくのに「地消地産」と「地産地商」が要る。グローバル企業のように生産拠点を移らないで、同じ所で長く生産して商売を続けることで、地域経済が維持できる。地域経済は雇用を始めとして中小企業が多くを支えている。とりわけ中小企業のモノづくりは優れた特性を持っている。熟練というのは中小企業の強みであり、モノづくりの基盤技術の多くが中小企業の熟練によって支えられている。関中協の共同受注グループ、ウィックは中小企業の事業主が助け合いながら製品開発と受注活動を展開した日本でも進んだ事例である。地域経済におけるローカル循環へ、いくつかの自治体では中小企業を支える振興条例が作られ、効力を発揮してきた。
国も中小企業憲章を制定して支援に乗り出している。中小企業にとって追い風も吹いている