防災から学校統廃合を考える・まちづくりシンポジウム
学校統廃合は白紙にすべき
生野区・小中一貫と学校統廃合を考えるつどい実行委員会主催の「防災から学校統廃合を考える・防災まちづくりシンポジウム」が 2 月 4 日開催されました。講師はまちづくりが専門の中山徹教授(奈良女子大学)。教授は学校統廃合、とくに小学校の統廃合がまちづくりや地域コミュニティーにどのような影響を与えるかを解説。講演では「歩いて回れる小学校区はコミュニティーの最適な単位」で「統廃合はそれを壊し、防災など人的組織、商店などの経済的要素が失われ」、「生活不便、さらに人口減少」という悪循環におちいる可能性を指摘しました。そのうえで「少人数できめ細やかな教育」「生徒数減少には学校間連携で」「統廃合より教育など住民サービスの強化を」と訴えました。
同実行委は昨年 6 月に和光大学の山本由美子教授(教育学)をまねいて「小中一貫で学校が消える・子供たちの発達が危ない」を開催しています。
背景に政府と維新のねらい
今回の学校統廃合にはふたつの背景があります。平成 27 年に文科省は「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を発表。教育的観点より集約化・効率化を優先し統廃合をすすめる姿勢を打ち出しました。
もうひとつは大阪維新の会がすすめてきた「教育改革」です。改革の名の下に、政府の方針をよりすすめ、競争原理と効率化を教育現場に持ち込んできました。全国に先駆けて、全国学力テストの学校別結果公表を実施し、競争教育に拍車をかけ、小学校全体の 1/3 にあたる 83 校を対象に統廃合をすすめようとしています。
効率より教育の優先を
大阪市が強引にすすめようとしている統廃合計画は、まず統廃合ありで、少人数学級によるきめ細かな対応や小学校が地域コミュニティーと密接に関連していることの重要性を無視しています。また、大規模地震が予想されるなか、防災拠点である小学校の廃校が地域防災力の低下をまねくことはあきらかです。統廃合案に対しては「白紙に戻すべき」という意見も多くあり、地域や親、教育関係者の共同のとりくみである前回及び今回のシンポジウムは重要な役割を果たしています。
〈参考〉 生野区西部地域学校再編整備計画(案)とは
大阪市生野区の西部地域の 12 の小学校を 4 校に、5 つの中学校を 4 校に統廃合しようという計画。この計画は平成 27 年 7 月策定の「生野区西部地域教育特区構想」にもとづき平成 28 年 2 月に発表されました。大阪市・生野区としては平成 28 年 8 月をめどに地域や PTA と合意し統廃合を実現する予定でしたが、地域やPTA から疑問や反対の声があがり、行政の思うようにはすすんではいません。