大阪市の住民投票、「反対」多数で決着
大阪市存続、「都構想」に終止符
大阪市を廃止し、5つの特別区に分割するといういわゆる「都構想」について、5月17日におこなわれた住民投票で「反対」が「賛成」をわずかに上回り、 大阪市存続で決着することになりました。投票率は66.83%で市民の関心は非常に高かったと言えます。
橋下・維新の会は、「二重行政のムダをなくす」「いま大阪市を変えなければ改革のチャンスを逃す」「既得権益をなくせ」など変革を訴えたのにたいし、 「反対」派は、「大阪市をなくすな」「改革は制度ではなく、市政運営の問題」「根拠のないバラ色の設計」などお互いの主張を市民に真っ向から訴える、 激しい闘いとなりました。
「改革」は良いが地に足つけた議論を…
「改革」という言葉の響きはいつの時代でも、現状の変革という意味で有権者の心をとらえてきました。当初は、改革を唱える賛成の意見が多数 を占めていましたが、「都構想」における大阪市のシミュレーションをする中で、この制度の中身についてこれでいいのか、市民は真剣に考え抜いたと思います。
「二重行政はどの程度か」「特別区にかかる費用、区は赤字にならないか」「住民サービスは低下するのでは」「政令指定都市の権限、財源を手放すのか」 など疑問の声が増えました。橋下市政のもとでの住民サービスの縮小なども議論されました。
住民投票でわかったこと
地域別、年代別の結果分析でも賛否が拮抗し、真っぷたつに割れたきわどいものでした。この結果をどう見るか?様々な角度から論じられていますが、 ①議論を重ねるというより、トップダウンの強引な手法で対立を持ち込んでいなかったか。 ②あるべき大阪市の姿を市民に理解できるような説明がされていたか。 ③大阪市の問題点を幅広い層から拾い上げていたか。いずれの問題も不十分であったと言わざるを得ません。
いずれにせよ、大阪市は存続と成りましたが、市政改革は賛成派も反対派も望んでいることも明らかとなっています。大阪の未来について市民の声を集めることが大 切だとわかった住民投票でした。
(2015年5月)