2014年 確定申告抽出調査
売上は増減二極化
昨年と比較して売上が1割以上増加した事業所は件数で34.7%で、これは昨年申告時の33.3% とほぼ同じでした。1割以上減少した事業所売上やや改善、利益やや悪化 は49.7% で昨年の35.1% から大幅に増加、その一方、変わらない(変動幅がプラスマイナス10%以内)事業所は14.3%で昨年の31.5% か ら大幅に減少しました。件数ベースでは改善傾向にある事業所の割合はかわらないものの減少とする事業所の割合は増加しており、昨年申告時の「売上はやや改善」という状況からはやや悪化しています。
業種別では製造業で増加した事業所が40.7%、変わらないが11.1%、減少が48.1%でした。建設関連では増加した事業所が37.5%、変わらないが12.5%、減少が50.0%。サービス・販売では増加した事業所が30.0%、変わらないが20.1%、減少が48.1%でした。
増減幅で見ると30%以上売上が増加した事業所は25.5%で昨年の11.1%より大きく増加しました。一方3割以上減少した事業所は22.9%で昨年の7.4%より大幅に増加しています。増減 ともに増えており、二極化している状況です。
所得は全体的に悪化
所得( 専従者控除及び青色申告控除前) は昨年と比較して1割以上増加した事業所の割合は22.4%で昨年申告時の同割合の31.5%を下回りました。1割以上減少した事業所の割合は63.2%で、昨年の46.2%より大きく増えています。変わらない(変動幅がプラスマイナス10%以内)は14.2%で、昨年の22.3%より減少しています。所得の傾向は売上と同じく、昨年よりも悪化しています。
業種別では製造業で所得が増加した事業所が29.6%、変わらないが14.8%、減少が55.5%でした。建設関連では増加した事業所が25.5%、変わらないが5.5%、減少が68.30%。サービス・販売では増加した事業所が20.0%、変わらないが12.1%、減少が77.5%でした。
増減幅で見ると30%以上所得が増加した事業所は14.2%で昨年の24.0%より大きく減少しました。一方3割以上減少した事業所は44.8%で昨年の24.0%より大幅に増加しています。
改善傾向に変化か
昨年の申告時と比較して売上、所得ともに減少した事業所が増えました。また、「変わらない」とした事業所の割合が売上で昨年31.5%→今年14.3%、所得で昨年22.3%→14.2%と大幅に減少していることが特徴で、その分1割以上減少した事業所が増えており、二極化しているといえます。
リーマンショックの影響が大きく反映した平成21年以降ゆるやかに改善傾向が続いてきましたが、その傾向にやや変化がでており、悪化する事業所の割合が増えています。なかでも売上規模の小さいところほど売上減少が多く見られ、所得についてはさらにその傾向が強く見られます。中小・零細企業といえどもその企業間での格差が広がる危惧があります。また、高齢化による影響も見られます。今回の調査では充分把握できていませんが、事業主の高齢化が売上、所得の減少に反映されている可能性があります。
(2014/4)