中小企業を日本経済の主役に
関西中小工業協議会
生野生産協同組合
労働保険事務組合 関西中小工業協議会
 
Top_photo
 

記事

記事・主張 >> 記事詳細

2014/08/20

[寄稿]わが国を危険にさらす集団的自衛権容認閣議決定

Tweet ThisSend to Facebook | by kawahara

[寄稿]わが国を危険にさらす集団的自衛権容認閣議決定


弁護士 城塚健之(大阪法律事務所)

 安倍内閣は、7 月1 日、国民の大多数の反対を押し切って、ついに集団的自衛権と集団安全保障を容認する閣議決定を強行しました。
 集団的自衛権とは、他国が第三国から攻撃を受けた場合に、その他国のために第三国を攻撃することです。通常は仮想敵国を想定する軍事同盟に基づくものです。 自国が攻撃を受けていないのに戦争を始めるわけですから、自衛権というよりは「他衛権」といえます。
 集団安全保障とは、ある国が他国を攻撃したときに、他の複数の国が一緒になってその国に軍事を含む制裁を加えることです。
 憲法9 条は、対中国侵略に始まり原爆投下で終わったあの悲惨な戦争への反省から、あらゆる戦争を放棄しました。その後、東西冷戦の中で、自国を守るための必要最小限度の自 衛力は戦力ではないという理屈で自衛隊が設置されましたが、これまで政府は、集団的自衛権も集団安全保障も、この必要最小限度を超えるもので許されないとしてきました。日米 安保条約でも、自衛隊がアメリカのために戦うことは要求されていません。自衛隊の任務はあくまで専守防衛でした。
 しかし、安倍首相は、みずからの情念のみで、これまでの政府解釈をひっくり返してしまいました。今後は自衛隊は他国(アメリカ)を守るために地球のあちこちに出かけていくと いうのです。その傲慢さと軽薄さには言葉を失います。
 アメリカは第2 次大戦後も、世界のあちこちで、始終、集団的自衛権に基づく戦争をしてきました。ベトナム戦争しかり、イラク戦争しかり。ベトナム戦争では、ジャングルに攻 め込んだ多くの米軍兵士が、どこで襲われるか分からない恐怖から精神を病み、虐殺事件を引き起こしたり、ドラッグ漬けで社会復帰できなくなったりしました。都市部を制圧した イラクでも同じことが起きています。そんな戦場にわが国の自衛隊員を送ることが許されるのでしょうか。
 もっとも、今回の閣議決定だけでは戦争はできません。出動命令の根拠となる自衛隊法改正などが必要です。これは戦争に反対する国民にまだ反撃のチャンスがあるということ です。これ以上の悪法制定をやめさせ、安倍内閣にもお引き取りをいただくこと。それが戦後69 年にわたって築き上げてきた平和国家としての国際的信用を取り戻す道です。

(2014/8)


10:33 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | 寄稿
PAGE TOP